【速報】日本郵便に異例の行政処分──2,500台の運送許可を取り消し

2025年6月25日、国土交通省は日本郵便が使用するトラックなど約2,500台について、自動車貨物運送事業の許可を取り消すと正式に発表しました。背景には、配達員への法定点呼の不備や虚偽記録が多数確認されたことがあります。

■ 処分の概要と理由

  • 処分対象:トラック・ワンボックス車など約2,500台(5年間、運送業務使用不可)
  • 理由:全国の郵便局で、法定点呼の実施漏れや記録の偽造が常態化
  • 違反状況:3,188局中2,391局(約75%)で点呼不備。2025年4月には飲酒運転発覚が20件
  • 国交省の判断:関東運輸局管内では違反点数が基準の2.5倍に達し、悪質性が認定された

■ 異例の重処分──前例なき許可取り消し

貨物自動車運送事業法に基づく「許可取り消し」は最も重い処分で、大手事業者に対する適用は極めて異例。過去に類似の処分はほとんど例がありません。

■ 問題の背景と詳細

● 点呼不備の実態

点呼とは、運転前後に健康状態や飲酒有無を確認する法定義務。日本郵便では、繁忙期に省略されたり、未実施にもかかわらず「実施済み」と虚偽記録がなされていました。

● 飲酒運転の報告

2025年4月の調査では、アルコール検知が19件、点呼を受けずに酒気帯び運転を行った事例も確認。2024年5月の東京都内での死亡事故でも点呼の形骸化が問題となっていました。

● 組織的な管理の甘さ

本社や支社では「帳票が整っていれば実施されたと見なす」性善説的な管理が横行。長年にわたって全国的な違反が見逃されていた構造的問題が指摘されています。

■ 処分の影響と今後の動き

● 対象外の車両と追加処分の可能性

  • 軽自動車:約3万2,000台(届け出制のため今回は対象外)
  • 原付バイク:約8万3,000台(同上)
  • 軽自動車にも車両使用停止の可能性があり、配達業務への影響拡大も懸念

● 配送・経済への影響

日本郵便は年間約10億個の荷物を取り扱い、市場シェアは約2割。今回の処分により、お中元シーズン選挙関連郵便に影響が出る可能性も。

チルド商品の輸送も困難になり、軽車両による代替輸送が増加。輸送委託の拡大によりコスト増加・利益圧迫は避けられません。

■ 日本郵便の対応と再発防止策

● 業務委託の検討

子会社「日本郵便輸送」や、ヤマト運輸・佐川急便など民間業者への委託を模索。ただし、ヤマト運輸とは訴訟中(120億円の損害賠償請求)で円滑な移行には課題も。

● 再発防止策の発表

  • 監視カメラによる点呼記録
  • デジタル点呼システム導入

これらは4月に発表済みですが、処分確定前の段階では「実効性が不透明」として厳しい視線が向けられています。

● 公式コメント

日本郵便は「社会的インフラを担う事業者としての責任を重く受け止めている」としつつ、「ゆうパック廃止や郵便配達停止の報道は事実ではない」と明言。

■ 行政手続きと今後のスケジュール

  • 6月5日:処分方針を通知
  • 6月18日:聴聞実施、日本郵便は意見陳述せず
  • 6月25日:正式処分決定へ
  • 軽車両への処分可能性、点呼義務強化命令も同日に予定

■ 社会的な反応と波紋

● 政府の反応

林芳正官房長官は「極めて遺憾な事態」と表明。中野国交相は「物流への影響最小化を求める」とコメントしました。

● SNSでの声

X(旧Twitter)では、「物流が混乱する」「年末への影響が心配」「処分が重すぎる」「委託先の利権目的では?」など様々な意見が飛び交っています。一部では、子会社への業務移行は“処分逃れ”ではとの疑念も。

● 業界の見解

業界関係者は「完全停止は避けられるが、遅延やコスト増加は避けられない」と予想。ヤマトや佐川に委託が集中することで、物流全体のキャパ不足も懸念されています。

■ まとめ

法令遵守の根幹である「点呼」の軽視が、社会インフラを担う企業にここまで深刻な影響を及ぼしました。今回の処分は前代未聞の重さであり、日本郵便の信頼回復には長い時間と組織改革が求められます。

従業員の中には誠実に働いてきた方も多いはずです。現場の善意が損なわれず、再び安全なサービス提供体制が構築されることを願います。

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