ガイドブック発売記念!『終末トレインどこへいく?』を鉄道・社会の視点で読む

2025年6月10日(火)、話題のオリジナルアニメ『終末トレインどこへいく?』の公式ガイドブックが発売されました。

作品概要と物語の世界観

2024年春アニメとして放送された本作は、西武池袋線の実在駅を舞台に、女子高生たちが「終末世界」を旅する物語です。

舞台は、外の世界と断絶された町「長谷ノ坂」。
主人公・静留は、失踪した親友・茜からのメッセージをきっかけに、仲間と共に廃線となった電車で旅に出ます。

「世界がなぜ崩壊したのか」「茜はどこにいるのか」——その謎を追いながら、少女たちは駅ごとに異なる異常現象と向き合います。

西武池袋線と作品の深い結びつき

本作に登場する駅はすべて実名で登場し、その地域の特色が物語のキーとなる現象に投影されています。

  • 電車=時間・運命の象徴。一方向に進むレールは、少女たちの成長や選択を暗示。
  • 吾野→池袋へ進む構造が、「自然→都市」への移行、「閉鎖→情報過多」への対比を表現。

7Gとは? 物語のカギを握るキーワード

現代の5G・6Gをさらに進化させた未来通信技術。便利さが極限まで進んだことで、人間の心や社会が崩壊していく文明批判の象徴です。

超高速・超低遅延・超多接続が可能となった結果、人々は“つながりすぎ”、個が消え、集合的意識に飲まれていきます。

駅で起こる現象と土地柄の関係

停車駅起こる現象地域性・象徴
吾野(長谷ノ坂)閉鎖と孤立。「外に出てはいけない」圧山奥で自然豊か。閉ざされた共同体の象徴
飯能動物化した人間が暴走「飯」「能」=“本能”を連想。自然との結びつき
入間市「推し信仰」が暴走し、偶像崇拝に「入間」=受け入れる間。盲信と孤立の象徴
所沢「汚れなき者のみが生き残る」選別社会環境都市としての潔癖性の裏返し
石神井公園時間の分断と輪廻「神井」=記憶と巡る時間、水と祈りの象徴
池袋(終点)7Gによる集合意識。個の消滅情報・人が集まる都市=自我の喪失

西武線とオタク文化の結びつき

  • 大泉学園(東映アニメーション)
    駅前には「大泉アニメゲート」も。アニメの聖地として知られる。
  • 中野・練馬エリア
    バンダイナムコの拠点や関係者の居住地。アニメ制作と地理的に密接。
  • 西武線ゆかりの作品
    『はじめの一歩』『四月は君の嘘』『あだち充作品』『とある科学の超電磁砲』など。

公式ガイドブック詳細

  • 書名:終末トレインどこへいく? 公式ガイドブック マージナル・ダイヤグラム
  • 監修:「終末トレインどこへいく?」製作委員会
  • 定価:3,520円(税込)
  • 発売日:2025年6月10日
  • 判型:B5/112ページ
  • ISBN:978-4-04-115735-0
  • KADOKAWA公式サイトはこちら

収録内容(一部)

  • キャスト・スタッフのロングインタビュー(監督・水島努の1万字超)
  • 設定資料、美術資料、イラスト集
  • 詳細な世界観解説、ストーリープレイバック
  • 豪華ピンナップ付録
  • 直筆メッセージボード

まとめ:終末世界に触れながら“見慣れた駅”を旅する

作品では実在する駅がモデルになっており、視聴者が感じる「見覚えのある風景」が没入感を生んでいます。

登場しなかった駅も多く、沿線住民であれば「もしあの駅だったら…」と想像が膨らむ余地も。

たとえば…

  • 病院が多いエリアでは、医療・生死のテーマが展開されそう
  • 「中間駅」の冴えなさが、逆に“停滞した感情”を象徴できそう
  • 電車内から見えるだけの謎の交差点も、未知との出会いの象徴に

次回作があれば、そんな妄想をぜひ作品へ――。

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