若者の衝動と美人局の闇──私たち大人ができること

最近、「美人局(つつもたせ)」を悪用した強盗殺人事件が、短期間に相次いで報じられました。

いずれも若年層の関与が目立ち、衝動的で無計画な犯行に、強いやるせなさを感じます。

事件の背後には、若者の不満や軽いつながりが生む孤独と無力感があるのかもしれません。なぜ重大な犯罪に走ってしまうのか。そして、私たち大人は何ができるのか──少し立ち止まって考えてみませんか。

若年層の犯罪の背景:労働への不満と衝動性

「楽して稼ぎたい」心理の背景には、働くことへの不信や期待の低さがあるのではないでしょうか。

非正規雇用の拡大や低賃金、将来の展望が見えにくい状況が、「一攫千金」に走る動機になっているように見えます。美人局は、短時間で高額報酬を得られる“手っ取り早い方法”に見えてしまうのでしょう。

また、他者を利用し、貶める行為に対する抵抗感の希薄さも課題です。SNSやマッチングアプリで知り合った相手を、まるで「利用可能な対象」と見なす傾向。そこに倫理観の欠如と、発達途上の衝動性が重なり、加減の利かない行動へと突き進んでしまうのです。

■ 若年層による凶悪犯罪の推移

警察庁の統計によると、凶悪犯罪の認知件数は増加傾向にあります。以下の表は全体の推移です。

年度凶悪犯認知件数年間増減率
令和元年4,706件
令和2年4,444件
令和3年4,149件
令和4年4,437件
令和5年5,750件
令和6年7,034件+22.3%

警察庁『令和6年の犯罪情勢』では、青年層も含む凶悪犯の認知件数が前年比22.3%増と、大きな伸びを示しています。

犯行グループの特徴:軽いつながりと深い敵意

SNSなどで形成される「ゆるいつながり」が、犯行グループの多くを占めています。信頼関係が薄く、仲間同士で抑制し合うこともないため、衝動が加速しやすい環境に。

加えて、加害者間の恋愛関係や対人トラブルが引き金となり、被害者への異常な憎しみや敵意が加わるケースも見受けられます。暴行や脅迫が殺人にまで至る背景には、「想像力の欠如」と「共感性の未発達」があると感じます。

大人ができること:日常の対話と教育から

  • 会話の中でリスクを伝える
    「今はカメラやSNSで証拠が残る時代。バレない犯罪はほとんどない」といった話題は、リスク回避の意識を育てます。
  • 罪の重さを具体的に伝える
    殺人罪は7年以上の懲役、場合によっては死刑。強盗致死なら最低5年以上。これらを判例やニュースと一緒に語りましょう。
  • SNSリテラシー教育を充実させる
    家庭や学校、地域で「見知らぬ相手との関係性の危うさ」を学べる機会を設けることが効果的です。
  • 孤立させない居場所づくり
    ボランティア、スポーツ、地域活動を通じ、若者が自分の価値を実感できる場を増やすことが大切です。

結論:未来のために、大人全員でできること

若者の犯罪の背景には、労働への不満、SNSによるつながりの軽さ、倫理観の希薄化があります。しかしこれは、大人たちの「本気の関与」によって変えられる問題でもあります。

例えば、企業においては新入社員教育などを通じて、SNSリスクや法律知識を定期的に共有し、職場全体で倫理観を育む取り組みが有効です。

一人ひとりの小さなアクションが、若者を犯罪の誘惑から救う手助けになる。「何かあったとき、話せる大人がそばにいる」──そんな社会を目指して、今、私たちが動き出すときです。

あなたの身近な若者に、どんな言葉をかけてあげたいですか?

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