2025年7月、ラーメン二郎・府中店が掲げた「食事は20分以内」との張り紙とXでの投稿が、大きな波紋を呼びました。
“ロット乱し”というジロリアン界隈の専門用語が公式に使われ、Xでは賛否両論が噴出。飲食店経験のある筆者としては、店の効率へのこだわりには理解を示したい一方で、店員の横柄さと、客側のマナー違反という両極端な姿勢にも、時代とのズレを感じずにはいられません。
今回は、暖簾分け文化とチェーン展開の違いも含め、この騒動の本質をひも解いてみたいと思います。
◆「ロット乱し」と20分ルールの背景
ラーメン二郎では、「ロット制」という、5~6人分の麺をまとめて茹でる方式が取られています。
これは効率を最大化するための仕組みですが、1人でも食事に時間がかかると「ロット乱し」が起き、回転率が下がり、待ち客にストレスがかかるという構造になっています。
府中店が設けた「20分以内での食事」というルールは、まさにこの“効率”を守るための策でした。しかし、これが「高圧的すぎる」「時代に合っていない」と非難され、最終的には張り紙を撤去、SNSでの謝罪に追い込まれました。
Xでは、「店のルールは絶対」と擁護する声がある一方、「20分は無理!」と反発する意見も噴出。
格闘家のYUSHIさんが「急かされた」と発信したことで、二郎ファンの間でも戸惑いが広がりました。
◆こだわりと横柄さの線引きは?
飲食店経験者として、回転率が売上に直結するという現実はよく分かります。
特に人気店では1分1秒が重要で、店が“客を選ぶ”姿勢を取るのも戦略のひとつです。
しかし今回、Xで「来店しません」と発言したユーザーに対し、店が「どうぞどうぞ」と返したやりとりや、張り紙の口調は、こだわりを超えて“横柄”に映ったのではないでしょうか。
情熱が無意識のうちに「上から目線」にすり替わる瞬間──それは飲食業の“あるある”でもあります。
一方で、客側のマナー違反も問題です。
スマホを見ながらダラダラ食べたり、必要以上に居座ったりすれば、当然店の回転効率は落ちます。
「お客様は神様」という古い価値観は筆者も嫌いですが、「こだわり」が「横柄」に変わる瞬間には敏感であるべきでしょう。
この騒動は、店も客もSNS時代に「周囲への影響」を意識できていないことが露呈したとも言えます。
◆「暖簾分け」と「フランチャイズ」の違い
ラーメン二郎はフランチャイズではなく、「暖簾分け」によって店舗が展開されています。
三田本店で修行した店主が独立して「◯◯店」として営業するスタイルで、味やルールは店舗ごとに異なるのが特徴です。
府中店の「20分制限」も、こうした自由裁量の一環ですが、今回のように問題が炎上すると、他店舗への悪影響も無視できません。
また、チェーン全体としても、サービスの過剰や不足が店ごとの「差」に繋がることで、期待とのギャップが生まれるというリスクがあります。
府中店が方針を撤回したのは、「こだわりを貫ききれなかった」とも、「時代に適応した」とも受け取れます。
個性と安心感、どちらを重視するか──それは、飲食店全体が抱えるジレンマでもあります。
◆時代に合わないのは誰なのか?
府中店の張り紙撤回は、ある意味でSNS世論への“敗北”とも言えます。
ルールを掲げたのに貫けなかったのは、信念の弱さなのか、それとも時代への柔軟さなのか。
一方で、客側もスマホを置いてラーメンに向き合うような最低限のマナーが求められています。
また、ジロリアンのような熱心なファンこそ、初心者やライトユーザーへの配慮を持つべき時代です。
時に、客の過剰な“店への崇拝”が、店側の横柄さを助長する要因になっていることにも目を向けなければなりません。
そんな時代だからこそ、店も客も「時代を見ろ」と言いたい。
あなたは、二郎の未来をどう見ますか?
ぜひ20分以内にコメントしてください(笑)。
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