日本の平均年収460万円は本当?広がる貧富の差

2024年、日本の平均年収が460万円に達したという報道が話題になっています。

最低賃金の引き上げやジョブ型賃金制度の導入による初任給の見直しなど、給与体系の変化が注目を集めています。一方で、コメ価格やガソリン代の高騰、円安による輸入物価の上昇など、生活を圧迫する要因が重なり、「収入が増えても暮らしは楽にならない」と感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は、年収データの実態とともに、その背景や要因を整理して考察していきます。

日本の平均年収の推移

国税庁「民間給与実態統計調査」による、1991年から2021年までの平均年収の推移は以下の通りです。

年度平均年収
1991年447万円
1997年467万円(ピーク)
2009年406万円(リーマンショック後の最低)
2021年443万円

過去30年間を見ても、平均年収はほとんど変化していないことが分かります。

年代別の平均年収(令和5年分)

年齢階層全体男性女性
19歳以下112万円133万円93万円
20~24歳267万円279万円253万円
25~29歳394万円429万円353万円
30~34歳431万円492万円345万円
35~39歳466万円556万円336万円
40~44歳501万円612万円343万円
45~49歳521万円653万円343万円
50~54歳540万円689万円343万円
55~59歳545万円712万円330万円
60~64歳445万円573万円278万円
65~69歳354万円456万円222万円
70歳以上293万円368万円197万円

平均年収が最も高いのは55~59歳の545万円で、男性では50代まで右肩上がりの傾向が見られます。女性は30代以降、横ばい傾向が続いており、男女間の収入格差も浮き彫りです。

また、厚生労働省「2023年 国民生活基礎調査」によれば、2022年の平均世帯年収は524.2万円、中央値は405万円となっており、高所得者が平均値を押し上げている実態も明らかです。

収入格差の要因

  • 企業による賞与の減少:景気の先行き不透明やコスト削減の影響で、ボーナス支給が抑えられ年収全体にばらつきが生じています。
  • 残業削減の企業努力:働き方改革や人件費抑制により残業時間が減少。結果として残業代も減り、特に若手や中堅社員の収入に影響しています。

生活困窮の背景

  • 物価高の進行:食品や光熱費などの生活必需品が値上がりし、可処分所得が減少。
  • 円安の影響:輸入品価格の上昇により、日用品やガソリンなどの支出が増加しています。

平均年収を上回る職種

企画・管理・コンサルティング業などは平均年収を超える傾向があります。企業の業務効率化や運用見直しの重要性が高まっている時代背景も関係しているでしょう。

まとめ

私自身の会社員としての経験を振り返っても、多くの企業は未だ年功序列的な仕組みから完全には脱却できていません。若年層支援やDX化といった方針は掲げられているものの、実態とのギャップは大きく、現場レベルではその恩恵を実感しづらいのが現状です。

AIやオートメーション化が進む中、長年企業を支えてきた人材がどう価値を再構築するかが問われる時代になっています。収入を「上げること」以上に、「守ること」への意識が今後さらに重要になるかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました